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2012年 10月 21日

田代島猫景色 (続編45) 田代島 猫の医療班便り 10月編

今月もクレス先生と田代島猫医療班の活動に行ってきました。
早いもので、昨年の8月に活動を始めてからもう1年以上が経ちます。

これまではあまり対外的に活動内容をお伝えしてこなかったのですが、にゃんこ・ザ・プロジェクトでご支援いただいた資金の一部を猫たちの医療活動に使っていることもあり、どのような活動を行っているのか全国のみなさんにお伝えする必要があるね、とプロジェクトのみなさんともお話しておりました。猫の医療活動報告と島の猫たちを紹介するウェブサイトを別途制作していますが、そちらを公開するまではこちらのブログでご報告します。

活動の概略をご説明しますと、ドイツ在住の獣医師クレス聖美先生と僕の2人で2ヶ月に1度田代島を訪問し(僕個人はそれ以外にも時折訪問していますが)島の中を回って猫たちの健康状態をチェックし、必要であれば注射をしたり目薬をさしたりという医療処置をしています。僕は島の猫たちの多くを個体識別しており、また島民の方々とも親しくお付き合いさせていただいていますので、また愛猫の介護経験があるので、言ってみればクレス先生の診療の水先案内人兼アシスタントですね。猫たちのカルテを作り診療記録のメンテナンスも行っています。
猫にご飯をあげているお宅には、抗生物質・下痢薬・目薬・軟膏を置き薬としてお渡しし、何かあった時に島民の方が対応できるようにしています。あと、冬は大変寒いところですから、昨年は冬期の港の猫たちの過ごし方を相談し、島の若者に猫の小屋を作ってもらいました。医療面・健康面から全般的に田代島の猫たちが元気にのびのびと暮らしていくためのサポートを行っています。
クレス先生と僕の活動はボランティアベースで、交通費と宿泊費を支払って訪問しています。好きでやっていることですから当然です。(誤解無きよう補足します。東京〜田代島の交通費と宿泊費です。クレス先生は東京で客員診療をされていますので、2ヶ月毎に定期的に仕事で日本に来られます。田代島に行くのはその際の空いた時間です。ドイツから田代島のためだけに自費でいらっしゃっているわけではありません。)
猫たちのための薬や医療機材(注射の針とかシリンジとか)は、にゃんこ・ザ・プロジェクトで支援いただいた資金の中から充当しています。薬と医療機材は、クレス先生が2ヶ月ごとに日本に来られて客員診療をされている東京の白金高輪動物病院の近藤副院長から実費でご提供いただいています。
白金高輪動物病院のウェブサイトはこちら (クレス先生も載っていますよ。)

さて、今回は8月以来2ヶ月ぶりの訪問。
今回は、白金高輪病院の近藤副院長も同行してくださいました。近藤先生は、今週が遅い夏休みなのだそうですが、そのお休みの一部を使って田代島に来てくださいました。

最初に訪れたのは、前回かなり具合が悪かったさくらちゃんの所。さくらちゃんは、元々石巻のお宅で室内飼いで飼われていた猫です。飼い主さんが震災被害に遭われて自宅の引っ越しを余儀なくされ、田代島の親戚の所に疎開してきた6匹の猫のうちの1匹です。
8月に訪問した際には具合が悪く、連日注射をしました。その後電話でお話したところ(さくらちゃんとじゃないですよ。(^^ゞ)良くなったと聞いていたのですが、心配だったので一番始めに伺いました。
で、さくらちゃんが住んでいるお宅に伺うと・・・そこには元気なさくらちゃんの姿が! 
良かったね〜、さくらちゃん。クレス先生が一通り診察して、今回は1回だけ注射することになりました。

ということで、さくらちゃんに注射すべく忍び寄る(笑)クレス先生。
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元気になって良かったね。
ちなみにさくらちゃんは、と〜〜〜ても甘えん坊でころころしたとってもかわいい猫です。
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診察後に、さくらちゃんと三毛のまみちゃんをかわいがっているクレス先生と近藤先生です。
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この日は秋晴れで天気が良く、海がきれいでした。

別のお宅でも風邪を引いている黒猫に抗生物質の注射。
今年は秋になっても暖かい日が多いせいか、まだあまり風邪をひいた猫を見かけません。これからぐっと冷え込んでくるでしょうから油断はできませんが、猫たちにとっては過ごしやすい秋の日です。クレスさん半袖だし。(^^ゞ
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と思っていたら、次のエリアでは風邪をひいた仔猫が何匹もいました。
島のおかみさんたちは、「秋ッコは育たねぇ」とよく言います。9月産まれの仔猫は、十分に大きくなる前に本格的な冬がやってきてしまうため、春生まれの仔猫よりも冬を越せない確率が高くなります。特にこの時期に風邪をひいていては大変。しっかり治して、しっかり食べて、厳しい寒さが訪れる前にしっかり大きくなってもらわなければ。ということで、ここでは風邪をひいている仔猫に抗生物質の注射と目薬。それから元気な仔猫には予防注射を接種しました。

この仔猫はまだ体も小さく、風邪をひいています。しっかり治って早く大きくなりますように。
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風邪をひいた仔猫たちの手当がおわり、坂を下りていくと向こうから白モジャくんが。
このブログでもおなじみの白モジャくん。以前は港に住んでいましたが、今年の夏からは島の中の方に居場所を変え、港では見かけなくなりました。風邪もひかず元気です。
昨年のパルボ騒動の予防注射から1年経っていますので、今回は大人の猫でも、人に慣れていて注射できる猫には予防注射と虫下しを接種しました。

白モジャくん、ご飯をあげて気を惹いて、すかさずクレス先生が注射。猫を識別して捕まえる僕と診察&診療を行うクレス先生の連携プレーも磨きがかかってきました。(^_^)v
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別の場所の親子。島民の方に毛布を敷いてもらった納屋の中で子育てしているのですが、右の黒い仔猫がかなり酷い風邪をひいていました。
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脱水がひどかったので、抗生物質の注射に加えて皮下点滴で水分補給。
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こちらは翌日の写真。随分良くなり、2日目は点滴は不要で注射のみ。
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3日目には元気に走り回っていました。見事な回復力。良くなって良かった。
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そしてこの猫。首にひどいケガ。
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8月に訪問した際にもケガをしていたのですが、その時点では傷口はふさがって治りはじめており、本人も元気にしていたのでそのまま様子を見ました。田代島にはいろんな性格の猫がいますが、この猫は人慣れしていないので、注射をするにもネットで捕獲しなければならず、それはそれで結構なストレスになります。
ですが、今回は傷口がひどくなっており、本人も元気がなくあまり動かなくなっていました。このままではケガを乗り切るのが難しいと判断。飼い主さんとお話して(田代島の場合、都市部の室内飼いの猫とは「飼い主」の意味合いがだいぶ異なりますが・・・)捕獲して麻酔をかけ、傷口の手当てを行うことにしました。
こちらの写真はその手当て中。クレス先生と近藤先生の手で、壊死した皮膚と化膿した部分を取り除き、傷口をきれいに洗浄・消毒。今回は手術道具が無かったので、傷口を縫合しなくても済む範囲で行いました。道具もあり合わせで野戦病院状態です。
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ケージの中で一晩寝てもらい、翌日早朝に様子を確認したところ、目つきがしっかりしてきてケージの中からシャーっと威嚇。ケージの中で2〜3日保護することも検討しましたが、本人の回復度合いとストレスを考えて、自然な状態に戻した方がベターと判断。住んでいる場所に戻しました。
さらに体力回復のためにヒルズの療養食 a/d 缶を処方。クレス先生と近藤先生は2日目に帰京されましたが、僕は猫巡りツアーで引き続き島に滞在したので、連日 a/d 缶を食べさせに行きました。
この写真は2日目で、傷口と毛並みはまだ痛々しいですが、随分目つきがしっかりしてきています。
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4日目には、傷口も乾燥して快方に向かい、本人も走れるぐらい元気になりました。クレス先生が麻酔中に診断したところ他に悪いところは無さそうで、また歯の様子からかなり若い猫と推定されるため、このまま順調に回復してくれると思います。

今回は、風邪をひいていた猫が約10匹ほど。予防注射と虫下しを接種した猫が、仔猫を主体に約20匹ほど。老齢で少々心配な猫はある程度いますが、全般的には猫たちの健康状態は比較的良好でした。今年の秋が暖かいことと、それに去年からの医療班活動が実を結んでいるかな?(^_^)v
クレス先生の次回訪問は12月ですが、僕は11月ににゃんフォト審査会や猫巡りツアーで再度訪問しますので、気になる猫たちの様子をまた詳細にお伝えできると思います。

そうそう、田代島の人気猫タロウも元気です。予防注射と虫下しを接種しました。
タロウ、また来月なー。
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以上、田代島 猫の医療班便りでした。

by naochago | 2012-10-21 15:21 | 田代島猫景色 続編


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